今回の作業は86とBRZです。1日違いで修理の為に入庫です。
まず赤86を故障診断でスキャンツールで診てみます。

エンジン不調の内容はたまに信号待ちとかでアイドリング不調になりエンジンが止まる、たまに吹けない時があるとの事です。

診断機でみるとエアフロのエラーが残ってました。とりあえずエラー消去してエンジン始動、その後エラーでませんがお客様と相談して念のためエアフロセンサーを交換します。


こちらこ赤86は6月にサーキット走行もされるので他の作業もあるので一旦エンジン修理のみやっておきます。修理といっても交換だけですけどね。これがサーキット当日とかではなくて良かったです。
次に青のBRZ、こちらは知り合いの車屋さんからの作業依頼でこれもエンジン不調、エンジンかけて様子みると完全に調子が悪い、1発燃えてない状態…

その業者さんのとこでプラグとコイルは交換済みでそれでも調子がよくならないとの事で持ち込まれました。
燃料なのか点火や圧縮なのか疑っていきます。
診断機では始動不良のエラーは出てましたがデータモニターで「失火カウンター」という項目あってそこでのライブデータでは4気筒とも失火は0。
という事はコイルとプラグは仕事をやってるという事になります。
コイルに繋がるコネクター外しながら様子みると運転席の後ろ側が外しても変化なし…原因はココです。エンジンで言うと2番になるのかな?
外したプラグを見てみると

明らかに右下プラグが焼けていません。
点火してるとなると後は燃料か圧縮となりますので次に圧縮を測定します。
面倒ですがコイルとプラグを全て外します。慣れていれば最低限の工具でやれますが何度やっても水平対向のプラグ外しは面倒です。
外れたところで圧縮測定用の器具をプラグホールへ入れます。これもちょっとやりにくいので先端アダプターがホールの中に残らない用に加工して使います。
で、測定結果!




2番が見事に圧縮0でした。
1.3.4番はしっかり圧縮あります。
圧縮0という事はエンジン内部になにか問題ありなので2番の内部を診ていきます。

プラグホール入り口からの画像です。胃カメラを見る時みたいなファイバースコープでの撮影です。
なにやらコーヒー牛乳みたいな液体が…

ピストンを下死点までやって撮影
べっとり液体ついてますね。

シリンダー内部、燃焼室内に水が混入してるという事はヘッドガスケットが抜けてます、おそらく。
何故冷却水が混入するかと言うと、エンジンを潤滑冷却する為にオイルの通路がエンジンブロックやヘッドにあります。同じくエンジン冷却用に水の通路もあります。この通路は隣り合わせになっていてヘッドガスケットによってキチンと別々の通路を確保されてます。

が、このヘッドとブロックに挟まれてるヘッドガスケットに隙間ができたりすると通路が繋がってしまって水とオイルが混ざってしまいます。その混ざった液体がエンジン内部にも入ってきてしまうという現象です。
このヘッドガスケットという部品はその通路の役目だけではなく圧縮された空気と燃料を逃がさないような役割があります。かなりの圧力に耐える大事な部品です。言葉として「ヘッドガスケット抜け」とかいいます。
話し戻り今回のガスケット抜け、軽い症状ではなく完全に抜けてますね圧縮しないぐらいに。
まだ正確な判断はできませんが1度エンジンを降ろしての分解になります。ほかにも原因があるかもなのでこういうケースは時間も費用もかかってきます。ヘッドガスケットだけならそこまで酷く費用はかかりませんが中古エンジンへの載せ換えが早く済みそうですね。
この状態を業者さんにお伝えして、うちでの作業はここまでとなります。
初期モノの86BRZも10年以上、距離も10万キロ越えた車両も多いですからトラブルも増えてきますね。
オマケ
86のプラグ交換でみなさんイライラしながらやってますよね?面倒くさいんです…やった事ある人ならわかると思いますが微妙な長さのエクステンションやソケットが必要になります。
私が使ってるのは

これぐらいです。
加工したマグネットツールもあると良いです。
画像一番左のプロクソンのラチェトも意外と役に立ちます。このプロクソンラチェト知ってる人は工具マニアですね。
エンジン向かって左側だとECUずらしてスペースを確保。みなさんやってるだろうと思いますが魔界にボルトやソケットを落とさないようにタオル挿入



ここで、ちょっと加工したエクステンション。長さは人差し指ぐらいのモノです。この長さがちょうどよいです。
画像でわかるかな?
普通、ソケットとラチェトやエクステンションを接続するとボールロック式になってるのでソケットなんかは下に向けても落ちませんよね。
けどこれがプラグソケットにロックされてしまうと、あの狭い領域では外しにくいんです。これは86BRZあるあるだと思います。なのでボール部分を削ってロックしないようにフリーにしてます。
たったこれだけですがスムーズに作業が進みます。連結したり外したりをあの狭いとこでやんないといけないので。
あと、プラグレンチ。安い○ストロの14ミリプラグレンチをちょいと削って細いタイラップを使いプラグホールの奥にある状態から引っこ抜けるようにしてます。
フリーの加工エクステンション抜いてタイラップを引っ張ります。プラグレンチはマグネット付きなのでプラグにくっ付ついてしまいますのでタイラップ付きだと外しやすいです。

専用工具もあったりしますがなるべく使いやすく時間がかからないようにと工具の使い方も考えながらやってます。もっとよい方法があったら教えてください 笑