バルタイ、正確には「バルブタイミング」と言います。バルタン星人ではありません…あ、若い人は知らないか!
このバルタイですが通常、普通のエンジンでバルブのタイミングは見たり調整する事はほぼないです。
これはなんなのかと言うと話しが長くなってしまいますので少し割愛します…自動車整備士の2級の試験とかで出てきます。
簡単に言うと内燃機関のエンジンでキチンと燃料と空気を吸入し圧縮させ爆発→燃えたガスを排気させる。
ピストンが2往復する間に4つのサイクルで工程を終わらせます。なので4サイクルエンジンとかいいますね。
エンジンを組んだり詳しい人なら理論は分かると思いますが、クランクシャフトが2回転する(4つのサイクル工程をするため)時にカムシャフトは1回転します。
この4サイクルを成立させる為にクランクシャフトとカムシャフトのタイミングが非常に重要になります。
文字で説明するとなかなか難しいと思うんですけど書きますね。
バルブタイミング、文字の通りカムシャフトが回ってバルブを押して吸入や排気をします。その開き初めや閉じ終わりのタイミングが大事でピストンが上下する時にバルブ開閉のタイミングを決めます。
クランクシャフトにギヤがありカムシャフトにもギヤプーリーがありそれを連結させてるのが「タイミングベルト」「タイミングチェーン」と呼ばれています。
よくタイミングベルトが切れるとエンジンが壊れると言いますね。ベルトが切れるとタイミングが取れなくなりピストンとバルブが当たってしまうからなんです。当たってしまうと大概バルブが曲がります。
半年ほど前に作業をやっていたRB26もそのタイミングベルトの部品が折れてしまいタイミングがズレてバルブが全部曲がってしまってのオーバーホールでした。
書き出したら長くなってしまうので各エンジンとかでも違ってくるので「バルタイ」で検索してください。
本題のRB26に戻り現状のバルタイの数値を見ていきます。シム調整まで終わったカムで載せた状態はイニシャルの位置で組んでいます。
これまた測定方法について、1ミリリフトの方法でやっています。簡易的なカムの最大リフトの前後1ミリで測定する方法もありますので同時にやっています。
これも説明が長くなるので知りたい方は「バルタイ1ミリリフト」で検索してください。
測定して…IN側 107° EX側 117.5°
この数値は最大リフト時の中心角です。
分度器に数字いっぱいありますが知り合いにバルタイ教えてる時に書いたものです 笑
今回使用したカムは
IN側 東名パワード 260° リフト量 9.15
EX側 HKS 264° リフト量 8.7
これにEX側にHKSさんのスライドカムプーリー、IN側はジュラテックさんのNVCS改にスライドタイプにしてもらいIN側も調整できるようにしています。
ここから少し調整します。今回のバルタイは後のセッティングの為でもあり調整したからといってこれで決まりではありません。現在の数値を知りメーカーさんの推奨値に1度セットしてセッティングしながら変更していこうというものです。
IN側はジュラテックさんのセット数値で113°付近に持っていきます。EX側もHKSさんの推奨値で113°にセットします。
IN側 調整幅いっぱいで111.5°
※普通NVCSはスライドさせて調整はできません。セッティング用にスライド式に加工しています。
これはエンジン個体差もあってこれぐらいでもOKです。シムクリアランスも差とかもありますので。
EX側 113°へスライド
スライドプーリーで見るとイニシャルの118°から113°へなのでプーリーメモリが1目盛り2°なので2目盛り半で113°へきました。
これで大体の数値出ましたので後はセッティング時にどうなるか…このままでも意外といい感じになるかもですが数値は必要です。
今回のバルタイの話し長くなってます、やられてる人なら簡単なんですが普通のディーラーさんとかのメカニックはたぶん…やんないでしょうね。というかやる事ができないんです。仮にカムシャフト交換やエンジンオーバーホールをやったとしても規定の位置に組むだけなので調整がいらないんです。いや、純正のカムプーリーは固定なのでできないんです。
こういったバルタイ調整は社外カムだったりヘッドを面研したりした時に行ったほうがいい作業でエンジンのパワーを最大限に引き出す調整になります。
まぁこれに点火時期なども加わってくるのでセッティングはシビアになってきます。
ここでまた少しバルタイの調整で「オーバーラップ」という言葉が出てきます。ちなみにRB26のノーマルバルタイはオーバーラップが0(数値)。これはなにかと言うとIN.EXのバルブがサイクル工程中にどちらも開いている状態のことを言います。
オーバーラップ0という事はどちらも完全に閉じてるかどちらかが開いてるけど片方は閉まってる状態です。
このオーバーラップですが簡単に言うと多いほうが空気の流れも良くなって混合気を取り入れやすくなりパワーも出る方向です。
ただ多ければ良いというものでもなくオーバーラップ量が多くなるとアイドリング付近が不安定となり負圧自体も少なくなりブレーキマスターなどにも影響してきます。
そこで開発されたのが日産で言うNVCS(可変バルタイ)です。通常はアイドル付近くら中速域~高速域でバルブタイミングを変えるシステムでより良くパワーを出せるようにとか燃費をよくする為に使われています。
度数でいうと20°ほど変化します。S14以降のシルビア、RB25エンジンにも採用されてます。
これ本来RB26には付いてません。
このシステムを利用してRB26に取り付けできるように市販されてるのが岡山のジュラテックさんで今回これを取り付けて中間パワーを稼ぎます。
オーダー時に113°セットの可変量は16.4°
要はアイドル付近は113°のバルタイで2000回転過ぎあたりから可変させて96.6°のバルタイでオーバーラップ量を増やしより多くの混合気を飲み込ませるといった感じになります。
なのでこういったエンジンはバルタイ調整は必要なってきます。
バルタイの説明は文章や言葉で伝えるのは難しいです、頭の中でピストンの動きを考えながら手でクランク回して目で見ながらやるのが理解しやすいです。
長々となりましたがマニアックなメカの話しになりました…ちゃんと説明しようとすると3倍ぐらいになります 笑
バルタイも終わってあと少しです。