こんな大げさに書く事ではないですが…

最初に言っておきます、ワタクシのミスです。

先週末に試運転まで行いまして、エンジンは問題なくまずは工場回りを一周~

ワタクシ「う~ん、クラッチこんなものかなぁ?」

と思いながらエンジンは大丈夫そうなのでバイパスに出て軽く運転。

ワタクシ「ん?なんかギヤが入りにくい?」

クラッチペダルを踏むとツインプレート特有のシャラシャラは鳴ってる。

でも奥まで踏むと音が変わる…やっぱなんかおかしい。ギヤも入りにくい。

工場に戻りしばし回想…

ワタクシ「クラッチの順番、向きは間違い無かったけどなぁ…でもミッションドッキングの時になんか違和感あったんだよなぁ…」

この時気付いていればよかったのですが…

やっぱりおかしいのでバラすしかないな!という事で夕方にまたミッション降ろしました。

ミッション降ろしてクラッチシステムをバラします。

いや、順番や向き、組み方も間違ってない!

よく考えてみたらOS技研のクラッチは加工や指定部品があったはず?と思いだしました。

注) ここから先の話しはクラッチマニア向けの話しです。

スゴく社外クラッチに興味がある方、整備士向けの話しになります。チューニングショップの方なら当たり前の話しになってきますが。これからOS技研さんのマルチプレートクラッチを組む人の為に少し説明します。用語は略してたりもしてます。

以前私の32にもOS技研さんのツインプレートを組んでいました。

もう20年も前の話しですが、クラッチペダル踏んでもギヤが入りにくい、その時は1速とバックギヤです。

要は停止状態からギヤ入れようとすると入りにくい症状。その後ミッション降ろして点検、当時はクラッチディスクのタイプがダンパー無しタイプでよく見るとディスクが反っていてキレイにクラッチが切れてない状態でした。

OSさんから中身だけの部品のOHキットを注文、同時にダンパー無しだと乗りにくいのでダンパー付きに変更。

そのダンパー付きに変更する際の注意事項があってそれにしたがって組み付けてました。

話しは現在作業中の32に戻り、クラッチシステムに問題なければオペレーション部分だなと思い部品をチェックしてたら…

あ!ベアリングのスリーブ高がなんか違う。

この赤丸です、右側にベアリングを圧入してます。

このインプットシャフトの部分に正式名フロントカバー(通称 天狗の鼻)に

こんな風に装着してクラッチカバーのダイヤフラムを押します。

クラッチフォークはテコというか「支点、力点、作用点」の原理で動きます。

このスリーブベアリングは作用点となりこのフォークが刺さる高さが凄く重要になります。

で、今回の場合OS技研さんのクラッチシステムで品番でいうと「TS2CD」でこのクラッチを組む場合3点ほど注意事項があります。

ワタシが使ってたのは「TS2BD」、4番目のアルファベットのBとCの違いはクラッチディスクの直径の違いだけでシステムは同じです。

画像は参考ですが左から2番目と4番目がダンパー付きのディスクです。

その注意点とは、

1. ベアリングのスリーブは高さ12mmの物を使用する事。

2. フロントケース(天狗の鼻)の先端を4mm削る事。

3. フライホイールボルトを測定し指定の高さにする事

OSさんのHPの加工変更内容とスリーブ番号

あと、フライホイールボルトの底打ちを測定もありますがこれはRB26の場合問題無しです。(クランクエンドには余裕あり)

もうこの辺の話しをしていくとややこしくなってしまい、OS技研さんのマルチプレートクラッチを組んだ人にしかわからない内容になってきました 笑

この注意事項はOSさんのHPにも載ってます。

昔OSさんのクラッチで色々勉強しましたので注意事項思い出しました。

今現在組んであるスリーブ高を測定すると高さ20mm…

フロントケース、ノーマルと同じ量で加工無し…

フライホイールボルト、加工無し…

わかりました!違和感はここでした。最初ミッションドッキングの際にスリーブってこんな高さだったかなぁというのと、ドッキングした時にフォークの位置がエンジン側に寄ってて斜めになっていた事。

緑色のフォークエンド部分が→エンジン側に寄っていたんですよね…

普通正常に組んでいくとほぼ真横にフォークエンドが出てきます。

この時におかしいと思って元に戻せばよかったのですが…

ここからが人間の先入観の話しで、

この車両、お客様が自分である程度の整備をされる方でうちに入庫する(タイベル飛びブロー)のひと月前ぐらいにご自身でクラッチ交換されたとか…

うちに入庫した時はすでにエンジン停止状態でしたのでクルマは動かせずクラッチの状態もわかりません。

エンジンブローまでは「普通に」動いていたモノと考えてました。

お客様情報によると、クラッチ交換前のOSさんのクラッチシステムは「TS2C」のダンパー無しタイプ。交換時に中身だけダンパー付きの「TS2CD」へ変更。

で、スリーブやフロントケースはダンパー無しのままでダンパー付きに変更されていてクラッチディスクの厚みが違うので本来なら上に書いている加工が必要なのですが…その加工をやられてなくて今回の結果となりました。

この辺の加工が必要とか指定部品があるとかこの手のクラッチ組んだ事ある人にしかなかなかわからないとこです。

お客様ご自身で組まれた時に全くクラッチが切れないとかの症状が出るならそこで判明するのですが違和感あるものの動いてしまうのですよね…

クルマ好きのオーナーさんがご自身でクラッチ組まれて(普通のクルマ好きはクラッチまで組みませんが))その状態がちゃんと正常なモノとワタシが思い込んでしまって各部の点検を怠ったミスです。

オーナーさんは変更してもそのまま動くだろうと組んであろうし、実際に動いてますので…

オーナーさんが色んなクラッチを組まれていたのであれば違いにも気付かれたと思うしOSさんのしか乗った事がないとすればわかりませんよね。

社外クラッチはとてもシビアに作られてますし組み方も色々です。

どの業種でもそうですが、先入観とは怖いモノです。

今回も勉強になりました。

もうクラッチの仕組みがチンプンカンプンな人やオートマに乗ってる方などはこの先の話しはスルーしてよいです。まだ続きますので 笑

話しは

その後の作業に戻り、すぐに必要な部品をオーダーして…入荷しました!

日産純正のフロントケースと12mmのベアリングスリーブ。

早速フロントケースを4mm切断します。

マスキングテープ右側4mmを削ります。

フライホイールボルトを8.5mm以下に削ります。

錆止めペイントもやってますよ。

元々付いてたフロントケースとの比較、緑丸の分違います。

12mmスリーブにベアリングを圧入します。

スリーブ比較、こんだけ高さが違います。

削ったフロントケース取付けして…

スリーブベアリングをセット

これでミッション側は準備完了、エンジン側にもクラッチを取付けてミッションをドッキングします。

もう慣れたもんですね…作業時間速くなります 笑

これです!普通はこの位置にフォークエンドがくるんです。レリーズシリンダーは力点になりますね。

これでようやく普通に動きます。

クラッチフルードも入れ替えてエア抜きもしっかりやります。

その他部品取付けしてエンジン始動、クラッチペダル踏み込んで…うん、バッチリです。

クラッチのミートポイントも丁度良いとこです。

まぁ途中に別の問題もありましたが長くなるので割愛です 笑

シャラシャラ音もいい音してます!

ようやくちゃんと動くようになりました。

OS技研さんのクラッチ久々だったので思い出しながらやってました。

OSさんのクラッチも良いです。ORCさんも良いです。

ただ、OS技研さんのは「このクラッチシステム組むならコレとコレを加工して指定部品はコレ使ってね!」というシステム。

最近よく使ってるORCさんのクラッチは「純正部品でそのままポン付けですよー」って感じでメーカーさんによってちょっとしたノウハウが必要になります。

無事に終わりました。

今回のこのブログ、クラッチマニア向けでかなり長くなりました。

最後までお付き合いありがとうございました。

12月も後半で雪もあり多忙でブログもなかなか更新できません。

またマニアックブログ載せます、眠いです。

次回へ続く…