GW明けまして沢山の作業依頼がありました。仕事ができるのは大変嬉しく思います。 が…嬉しくもあり大変でもあります。
さて、連休前もGTR祭りみたいになってましたが連休明けもまた32作業です。
別に32ばっかりやってる訳ではないです。普通の一般整備や車検も多くやっています。ブログネタとしてこういう記事が多いだけです…

今日もリフトに載せてる32ですが、5/5に突然走行不能との連絡ありレッカーされてきました。連休明けの昨日診断はやってまして本日部品入荷で作業です。
今回クラッチトラブルでクラッチペダル踏むとスカスカ…レリーズフォークのとこのピボット折れかどちらかのシリンダーからのフルード漏れかなと診断。
やはりミッションに付いてるレリーズシリンダーからのフルード漏れでした。


フルードタンクも空でした。
で、部品もきた事だしレリーズ外してオーバーホールしていきます。部品高いかな?と思ってたら1000円台でした。最近日産部品の値上げは半端ないのでね。

レリーズのピストンとシール、スプリングが入ってます。

とりあえず分解、簡単な構造です。注射器みたいな感じでペタルを踏むとクラッチフルードをでピストンが押し出れます。
んー?なんかおかしい。ピストン側面がうっすら削れてます。

赤丸部分。ピストンが真っ直ぐ動けばこうはなりません。

反対側も対角線上に削れてる。これは真っ直ぐ押されてなく何かおかしい…で調べていくとわかりました。

銀色の部分はミッション本体。
右側の緑丸がレリーズシリンダーが取り付けてあった部分。
左側の赤丸に同じような穴が2ヵ所あります。
このミッションは32の後期モデル用でクラッチは本来「プル式」になります。プル式がわからない方は調べてね。
GTRは32だけ2つのクラッチが存在します。前期は「プッシュ式」平成4年2月以降は後期「プル式」になります。
これは作動原理の違いだけでミッション機構は同じです。プッシュ式はクラッチペダルを踏むとテコの原理でクラッチカバーを押してクラッチを切るという作動になります。
プル式はペダル踏むとクラッチカバーを引いてクラッチを切るという事になります。英語そのままですね。
クラッチシステム自体違うのでクラッチパーツを注文する時はここを確認しての発注とかになります。
話しは戻り、この32は平成3年式。ですので普通だとプッシュ式になりそこは合ってますが現在搭載されてるミッションは後期のプル式用。

これワタクシの前期ミッション。レリーズシリンダーはフォークの前側に付きます。赤丸の部分には何もないです。これが前期後期のミッションの見分け方。
後期ミッションは

この様にレリーズシリンダーがフォークの後方に付きます。赤丸部分がポイントでネジは掘ってありませんが後期ミッションは前期レリーズシリンダーが取り付けてあったなごりがあります。
今回の修理でおかしな部分が2つありました。
以前この32のお客様が別の修理で来店された時に何かクラッチフォークの位置がおかしいと指摘した事があって普通にクラッチ切れてるのでその内相談しますとの事でそのまま運転されてました。
1つはそのレリーズフォークの位置。

これレリーズシリンダーを外した状態。本来なら赤線部分にフォークがこないといけません。
もひとつ、

穴開け加工してあります。
ややこしいんですが、昔やってた作業で、後期ミッションにプッシュ式のクラッチシステムを使う時に前期レリーズシリンダーのなごりの部分を利用してこの様に穴開けしてタップを切って前期レリーズシリンダーを取り付けをしてました。
注)今回のはうちでやってないですよ!
緑丸の部分、穴開け位置おかしいです。ホントは◯の中心に穴開けします。
わかりました。なぜレリーズシリンダーからフルード漏れしたのか。この穴位置がズレてるせいでフォークを真っ直ぐ押せてなく斜めった状態だったのです。
オマケに穴開け角度も違う…

ちょっとわかりにくいかもですが、緑線が穴開け土台。赤線はそれに対するボルト角度。そして青線が本来の穴開け角度。穴開け角度が上にいってて土台に対して垂直に掘ってないんです。
穴位置ずれてるし角度もです。おまけに片方のネジ山はズブズブでキチンと締まりません…
これどこの車屋で誰がやったのか…これがショップとかならビックリです。
たぶん普通の整備工場とか素人さんではやってないだろうと思いますがちょっとヒドイですね。
そしてこのクラッチ、窓から覗いてたぶんOS技研さんのツインプレートと思います。それも旧式の。めちゃくちゃクラッチ重いタイプです。
よく今までクラッチ使えてたなと。穴開けが適当だったので重いクラッチでネジ山もダメになったのかと思いますよ。
ここでフォークの話しに戻り位置がおかしい件。明らかにベアリングが入るスリーブの高さがおかしい。
OSさんのメタルツインだとTS2BやTS2BDの品番のモノだと思いますが以前のブログにも書いたようにOSさんのツインプレートクラッチを組むなら必ずスリーブの高さを確認しないといけません。普通だとスリーブ高さが12ミリか14ミリのモノを使います。
これ純正クラッチに使われてたスリーブでは?純正スリーブはたぶん24ミリじゃなかったかな?
明らかに高いスリーブ…でも動くんですね…
クラッチに詳しくない人が組むとこうなってしまいます。
今回はとりあえず動くようにしてお客様とまた相談して後日本格的に修理になります。
この32のオーナーさんはこういう状態を知らずに購入されてると思います。誰が作業したかはわかりませんがこういった32も数多くあるんでしょうね。
今後の作業としてはあの穴開け位置をキチンとしないといけません。ミッション交換といきたいところですがミッションを降ろした際になんとか現物修理したいと思います。
ワタクシも32オーナーです。どっかみたいに32を金儲けでは無く気持ちよくキチンと乗ってもらえるように努力していきたいです。

やはり曲がったままですがしばらくり乗れるようにしました。またご相談ください。